2015年3月20日金曜日
2011 Terrano Skerlj
今はシンプルなワイン。
これが現状のこのワインの今の姿だと思います。
なぜか。
石灰、カルシウム系のミネラリティを大量に持ちながらノン・マロラクティックのド直球&ピュアな酸のためです。
今はその酸がかなり強いのでその奥を想像できないと「酸っぱいワイン」と捉えてしまうかもしれません。
(恥ずかしながら言われるまで気づけませんでした)
以前シャンパーニュの造り手であるダヴィット・ラクラパールのノンマロのピュアストレートな果汁に脳天にドッカーンと衝撃を受けた経験がありますが、赤ワインのノンマロの場合は少し事情が違うように思います。
赤ワインには白と違い果皮由来のタンニンがあり、ノン・マロの場合はそれが酸っぱさを助長するように感じます。
しかし、それはあくまで表面上の物でノンマロのワインが本当の姿を現すにはマロを行ったワインの何倍も時間がかかるのです。
そもそもマロラクティック発酵とは主発酵の後、ワイン中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きによって乳酸に変化する現象です。
どちらの酸にも香りはないかもしれませんが文字通り、リンゴ酸にはリンゴの。乳酸には乳のニュアンスが伴います。
一般的にはマロラクティック発酵にはワインの酸味を和らげまろやかになり、酒質に複雑性を増し、豊潤な香味を形成し、微生物学的にも安定します。
しかし、ノン・マロにはこんな側面もあるようです。
シャンパーニュの秀逸なメゾンの一つであるブノワ・ライエは「マロラクティック醗酵したワインは、すぐに複雑さを帯びた味わいになるが、ノン・マロのワインは時間と共に複雑さが姿を現す」と言っています。
(ちなみにブノワ・ライエの場合。マロラクティック醗酵は、ワイン次第であるが、一般的にマロとノンマロのブレンドを好むそうです)
Oisy的な考えではありますがマロラクティックのワインは複雑性を増しまろやかにする側面もありますが、物によっては単調さを隠すという結果につながる事もしばしばあると思っています。
またその上でノン・マロであるには健全な葡萄果が必要で騙しが効かないと思っています。
しかし若いうちは酸っぱく感じがちで誤解されやすいというのも事実で、赤ワインで見かけづらいのはそういった部分もあるのかもしれません。
白の酸っぱいのは許せても赤の酸っぱいのは低品質と誤解されかねないですからね。
しかしノンマロの良いワインの熟成後のピュアの塊のような旨みをラクラパールで確信を得たのでは絶対に旨くなる、と思っています。
誤解を招くといけないので書いておきますが、今飲んでも美味しいです。
ただ、ノン・マロのピュアな酸を酸っぱい取るか、それとも適正なノンマロ故の酸だと捉えるかで飲む人によっては満足のいかないワインになる恐れがある、と思っています。
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