2015年3月31日火曜日

2007 Corton Blanc Grand Cru Vieilles Vignes Dominique Laurent





 最上級のワインとは。。。と言われて説明するのは非常に難しい。
自分でもちゃんと理解しているのか難しいところだ。
しかし、ある程度ワインを嗜んできた人がこれを飲めば、これが最上級のワインのうちの一つという事は直感で理解できる。

とにかくでっかいワインだ。
ミネラルの量と複雑性が液体の許容量ギリギリまで詰め込まれているのが分かる。
モンラッシェではないが、膝まついて飲んでしかるべき。。。

2015年3月25日水曜日

2013 Achille Il Buonvicino

茶色がかった赤。
コルクが固く、少し揺らしてしまったので澱が舞っている。

相変わらずブォンヴィチーノらしい特殊さを持っている。
元々かなり遅摘みで少し貴腐のニュアンスも混ざっているんじゃないかな。
発酵しきれない残糖が残るほどの元々の糖分だし。
元々デザートワイン用の品種であるからなのかもしれないが、実際デザートワインに片足突っ込んだようなワインだよなー。
そのバランス感覚が絶妙。

紅茶、ハーブ、香水の複雑なアロマがプンプンだし。
濃密で旨みとナチュラル感は半端じゃない。
ワインとは農作物という本質を思い出させてくれる。

完熟期を待って、バッと収穫して、ガシッと潰して、あとは自然にお任せ!なるようになるわ!って感じなんだろうなー。
やっぱりこうゆうのが好きだなあ。

2015年3月24日火曜日

ミネラルについて考えてみた2


あくまでも自分の中でのまとめ。

主にワイン用ブドウ栽培での外的要因について考えみると

気候(温度、湿度、降雨量、日照量、etc)×
品種(シャルドネ、ピノノワール)×
土壌(石灰質、砂岩質、粘土質、理土質)

大雑把にいって、これに造り手が加わってワインはできる。
どの要素もワイン造りには非常に重要な要素。
順位はつけられないと気づく。

 変えられる物を省く。
品種、造り手。
厳密に言ったらクローンの選択など非常に重要だと思うがここでは却下。

気候or土壌。

例えば全く同じ土壌で違う気候条件の元、ワインを造ったらどうなるか。
気候によってある程度葡萄自体をコントロールすることはできると思われる。
品種、クローン選択や栽培方法,etc...
もちろん限界はあるが

しかし、土壌を変えることはできない。
地面の下に広がっている地層の移動はできないので、ワイン造りにおいて土地決めは最も慎重にやらなければならない。
その岩盤から吸収できるミネラリティは、畑で貝柄を撒いたり等の応急処置とは比べられない程のミネラル量を吸収できると思う。
ある程度近づく事はできると思うけれども味わいの中で表現された時に、上っ面の物と、下で構えている物、という差になって表れてくると思う。


カリフォルニアの優秀なワインメーカーも最初は石灰質の土壌探しに躍起になっていたと聞く。
日本だったら長瀞とか武甲山系の石灰岩が続く地域には可能性はあるのかもしれないな。
山奥だけど。

もし、自分がワインメーカーだったら多少の降雨量や気温を犠牲にして地盤の質を重視して場所選びをするかもな。

2001 Meulsault 1er Cru Gotte D'or Maison Louis Latour

グットドール=黄金の滴というのはよく言ったものだと感心する。
まさに黄金のような色合いで現在はまだ黄色と薄い黄緑の若めのニュアンスのある色調も含み、完全な黄金になるにはもう少し時間がかかるという印象だ。単純な酸化による黄色ではない。ミネラリティによるものだと思う。
ようやっと飲み頃に差し掛かった頃と考えて問題なく、今後20年程に渡って楽しめると思う。

ムルソーらしいバタリーな香り。厚みのあるミネラルが馴染んできた印象のするドシッと腰を据えた大柄なワイン。
余韻は伸びるというより広がる。
太目の中心線があるようなワインで、大柄過ぎて逆につかみづらいかもしれないが構造のある良いワイン。
スケールの大きい液体だ。


ルイ・ラトゥールは熟成した大柄ワインが比較安めで楽しめて非常に良い造り手だと感じる。
若い時よりも年数を経た物をキャッチするのがお買い得と言えるかもしれない。

大手メゾンの名に恥じない一品だと思える高級ワインだ。
ムルソーの姿、特性もつかみやすい。

1988 Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 1/2 Maison Roche de Bellene Collection Bellenum

ニコラ・ポテルの選球眼が光る良いワインに出会った。
これはハーフだけれども、おそらく4000程なのでヴィンテージを考えれば状態次第で非常にお買い得だ。
古いワインの場合気をつけたいのはまずは出所だ。
蔵出しなら信用性は高いが必ずしも良い状態とは限らない。
店頭の掘り出しなら状態管理に余程信頼できる店でなければ怖い。

またハーフは全体の液量に対して表面の割合が高いので熟成のスピードも速くなりがち。
逆にマグナムはゆったりとした熟成が期待でき、基本的にはマグナムの方が価値が高い。

 今回は村名であったため、ほぼ30年物ということになる。
正直、あまり知らないメゾンだとおっかなびっくりなテイスティングになると思うが、二コラ・ポテルという事もあり、結構飲む前からの期待値は割と高かった。

 結果は非常に綺麗に熟成してきた村名ジュヴレ=シャンベルタンだった。
艶やかで非常にキレイな熟成香を楽しめる。
複雑性を十分に発揮している香りで、まだまだ若々しい果実感も楽しめる。
大まかな予想ではあと5〜10年はちゃんと保存すればいけそうだ。
アフターの余韻も甘美で伸びやかだ。
奥行きもあり、単に売れ残ったワインが年数が経って出てきた、という物ではない。

ジュヴレらしい鉄、血のニュアンスもたっぷりあり、熟成ジュヴレの醍醐味は存分に楽しめる。
こうゆうのが熟成ワインの醍醐味を知りたい人にはうってつけだと思うし、幅広く楽しんでもらえるはず。
熟成ワインはなんでもそうだが特にハーフは揺らしやすいので、しっかりと落ち着けて注ぐ時にもなるべく上澄みをつぐようなイメージで注がなければならない。
もしも揺らしてしまったらグラスに入れて少し澱を落としてから上澄みをすくうように飲むのもポイントだ。

そうすれば間違いなく美味しい。

2015年3月23日月曜日

2013 Augusto Il Buonvicino


 il Buonvicinoは本業がアグリツーリズモであり、ワイン造りは農業や宿泊業の一環としてやっているからなのか気負いの無さが非常に良い方向に働いているような気がする。

 独特の香水、またはフルーツリキュールのような甘美な香りが若いうち楽しめる。

これは前ヴィンテージ同様で、バローロやバルバレスコが熟成により出てくるような香りの一部分が早くから放出されているような気もする。
もちろんこのワインはドルチェットだが、共通項のような気がする。
ピエモンテという土地のミネラリティなのかもしれないが、改めて土地の素晴らしさを感じる。
いずれにしても樹齢がある程度以上にいった複雑性を感じさせ、ただナチュラルなだけではないというワイン。
もちろん恐ろしくナチュラルであり、温度変化が命取りになる可能性は非常に高い。
しかしワインは完全に安定していて、ナチュラルワインに対する理解度が高い。
というよりも、食材全般に対してのセンスが半端じゃない。

一見あっけらかんとしつつも、食材に対しての奥深い教養を感じる。

2015年3月20日金曜日

2012 Bourgogne Aligote Domaine Nicolas Rouges

二コラ・ルジェの現在の方向性はなるべく作為的な物を排除して、余計な手は加えない。
しかし、ブルゴーニュとしてのルールは守る。そんな感じがする。
冷静に現在のブルゴーニュと自然派のあり方を見て自分の造りに反映しているような印象をうける。
それが非常にクレバーで最も良いバランスになっていると思う。

ニュイのニュアンスのあるアリゴテ。
チョークの石灰質のような感じ。
キラキラのミネラルというよりもシャブリに近い感じ。
ブーズロンのアリゴテも美味しいものもあるがやはり、ミネラリティの違いが感じられる。

酸は良い意味で鋭角的でクール。

かなり良いぞ。

2011 Vitovska Skerlj


 葡萄品種とは、土地のポテンシャルを受け止める器に過ぎないのかもしれない。
地域に捉われず良いワインに出会うとそう思う事が多々あります。
もちろん品種の特性はワインに出ますがそれ以上に土地のポテンシャルの影響力が凌駕する。
そんな印象を抱きます。

 このワインは本当の意味で非常にナチュラルな自然に任せた印象を受けます。
大樽でマセレーションをしっかりと行った所謂オレンジワインに近い印象です。
色も褐色気味で緩やかに自然に任せて発酵を行ったような非常に穏やかな膨らみを持つワインです。
そういった意味ではワインとしては荒削りな、しかしとてもナチュラルな印象を受けます。

 ミネラルの量が非常に多く液体の中にどっしりと構えています。
まるでロワール上流の岩盤のような厚みのあるもの。
故に酸化のニュアンスがありつつも味わいがぺらっぺらになる事はなく、ミアーニがそうであるようにフリウリのスロヴェニア付近の物凄いポテンシャルを感じる事が出来ます。
この辺りは土壌の組成的に未開のグランヴァンの産地なのではないかという思いすら沸いてきます。

突き抜けたワインではありますが、非常に安定していることも良い印象を与えてくれます。
アヴァンギャルドさで言ったらアダムのカンティーナ・ジャルディーノの一歩手前といったところでしょうか。
酢酸的なニュアンスは全くなく安定した熟成を見せてくれそうな事も非常に期待できます。
この辺は造り手のセンスの良さが感じられますね。
このワインが熟成したらどうなるか、未熟なOisyにはちょっと予想がつきません。

インポーターのテクニカルを読んでもまだ色々と試行錯誤の段階であるため、これからどんどん進化の余地がある造り手です。
いつかはミアーニのようにスターダムに伸し上がるかもしれないギラギラのフリウリ。

2011 Terrano Skerlj




今はシンプルなワイン。
これが現状のこのワインの今の姿だと思います。

なぜか。
石灰、カルシウム系のミネラリティを大量に持ちながらノン・マロラクティックのド直球&ピュアな酸のためです。
今はその酸がかなり強いのでその奥を想像できないと「酸っぱいワイン」と捉えてしまうかもしれません。
(恥ずかしながら言われるまで気づけませんでした)

 以前シャンパーニュの造り手であるダヴィット・ラクラパールのノンマロのピュアストレートな果汁に脳天にドッカーンと衝撃を受けた経験がありますが、赤ワインのノンマロの場合は少し事情が違うように思います。
赤ワインには白と違い果皮由来のタンニンがあり、ノン・マロの場合はそれが酸っぱさを助長するように感じます。
しかし、それはあくまで表面上の物でノンマロのワインが本当の姿を現すにはマロを行ったワインの何倍も時間がかかるのです。

 そもそもマロラクティック発酵とは主発酵の後、ワイン中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きによって乳酸に変化する現象です。
どちらの酸にも香りはないかもしれませんが文字通り、リンゴ酸にはリンゴの。乳酸には乳のニュアンスが伴います。

一般的にはマロラクティック発酵にはワインの酸味を和らげまろやかになり、酒質に複雑性を増し、豊潤な香味を形成し、微生物学的にも安定します。

 しかし、ノン・マロにはこんな側面もあるようです。
シャンパーニュの秀逸なメゾンの一つであるブノワ・ライエは「マロラクティック醗酵したワインは、すぐに複雑さを帯びた味わいになるが、ノン・マロのワインは時間と共に複雑さが姿を現す」と言っています。
(ちなみにブノワ・ライエの場合。マロラクティック醗酵は、ワイン次第であるが、一般的にマロとノンマロのブレンドを好むそうです)

 Oisy的な考えではありますがマロラクティックのワインは複雑性を増しまろやかにする側面もありますが、物によっては単調さを隠すという結果につながる事もしばしばあると思っています。
またその上でノン・マロであるには健全な葡萄果が必要で騙しが効かないと思っています。
しかし若いうちは酸っぱく感じがちで誤解されやすいというのも事実で、赤ワインで見かけづらいのはそういった部分もあるのかもしれません。
白の酸っぱいのは許せても赤の酸っぱいのは低品質と誤解されかねないですからね。

 しかしノンマロの良いワインの熟成後のピュアの塊のような旨みをラクラパールで確信を得たのでは絶対に旨くなる、と思っています。
誤解を招くといけないので書いておきますが、今飲んでも美味しいです。
ただ、ノン・マロのピュアな酸を酸っぱい取るか、それとも適正なノンマロ故の酸だと捉えるかで飲む人によっては満足のいかないワインになる恐れがある、と思っています。

2015年3月17日火曜日

2012 Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits Blanc Nicolas Rouge

 エマニュエル・ルジェの息子でメオ・カミュゼでも修行をしたというサラブレッド。
そのプレッシャーがあるのかどうかは知らないし、どこまで師匠の手が介入しているのか知らないが、これが自分一人の判断で造れたならば非常に凄いと思う。

 のびのび造っているとは捉えられないし、グリップの効いた味わいで、ワインを理解してる造り手のワインに捉えられる。

できるだけダイレクトにミネラルを表現しながら造り手の意図も垣間見せる。
 ユベール・ラミーやニーロン程の経験による秀逸さは感じないが、そのような造り手のようにミネラルを前面にだすような作りを意識していると思う。

 ニュイらしさもあって非常に良い。

やはり下地が違うと感じる。

2013 Bourgogne Pinot Noir Hudelot-Baillet

ある意味上手い造り手だという。
確かに上手い。
なにが上手いかってバランスの取り方が上手い。
クラス越えをしてくるワインではないし、もちろんブルゴーニュルージュなんだけれども、ちゃんとブルゴーニュルージュとして納得のクオリティだし、シャンボールに近いと感じさせるワインをちゃんと造ってくる。
なおかつエキスでタッチはソフトだ。芯も決して強くはないがある。

そして多分ユドロ=バイエはこのくらいを狙ってきているんだと思う。
自分はこのくらいはできますからもっと良いアペラシオンのも飲んでみてくださいと言ってるようにも思うし、時代に合わせて価格と味わいのバランスも良い。
やっぱりその気にはなるし、信頼できるテイスターは上のクラスは物凄いという。

しかし値段がわりと抑えめなのも顧客目線で考えての事だと思うし、とても良い造り手だと思う。

2008 Saumur Champigny (le Clos) Clos Rougeard

あまりなじみの無いソミュール・シャンピニ―という地域。
テイスティングするのは多くて2,3回目くらいかもしれない。
色から非常に奥行のある赤色をしていてツヤがあるのが分かる。
端的にいってしまえばこれだけで良いワインだ。

今回、カベルネ・フランに対しての認識を新たにすることとなった。
前々からボルドーだけでなくロワールの良いフランをテイスティングしてきたが、フラン単体でここまで奥行があり、エレガントになるとは想像してなかったがやはり、ワインの質という本質を決めるのは品種ではなく土地や人だという事を強く感じた。

ブルゴーニュ的である。
というと全部ブルゴーニュ的ではないかという事になってしまうので、考えてみた。
ブルゴーニュを主と思うからブルゴーニュ的という話になるのであって、結局今まで自分がブルゴーニュ的というのは良いワインだと思うという事が大きく占めると思う。

もちろんブルゴーニュにしか出せない物は非常に多いので、それに近い事はブルゴーニュ的だ。

しかし、今まで密度があり、エキス的であればブルゴーニュ的という言葉で片付けてきてしまったのも事実。

これからはそうゆう物にブルゴーニュ的という言葉を使うのはやめよう。

 クロ・ルジャールにはジャン・ルイ・シャーヴのように達人の域の風格があると思う。
安定性が半端ない。
多分どのヴィンテージも信頼できる。
クラシック&ナチュラルという今までテイスティングしてきた中で最も正統派で美味しいと言えるスタイル。
ポテンシャルもある。

こうゆうワインに自分は最高点をつけたい。

2015年3月13日金曜日

ミネラルについて考えてみた


 楽しみにしていたRWGのミネラル特集をざっと読んでみた。
非常に参考になったし、生産者のミネラルについての考え方の違いは味わいの中にも影響してくるように見えて、生産者の意図を汲み取りたいタイプのワインラヴァーにとっては非常に有意義な特集だったと思う。
 さらに面白いのは、ミネラルという事に対しての考え方のインタビューは、ビンテージ毎のインタビューより生産者の素の感情が出ていて、なんとなくキャラクターが見えてくるのがとても面白かった。

 ミネラルというのは今のワイン界でブームになっていると捉えられるけれども、ワインとはなにか、にまで言及する極めて本質に近いテーマだと個人的に思っている。
それで自分が現状ワインにおいて、ミネラルについてどう考えているかまとめてみたくなったので書いてみる。
 


とりあえずRWGが生産者に行った質問表について自分なりに考えてみた。

・塩気を与える ○
   「ミネラルは塩」はなりたたないが「塩はミネラル」は有りだと思っている。
色んなワインに塩(岩塩)を入れてみた。
ミネラルの少ないワインには骨格を与える。またちゃんとした生の日本酒に入れると非常にワインっぽくなる。
しかし、じゃあ塩を入れればグランヴァンになるじゃないかというのはまた違った事になってくる。

・ほろ苦さを与える ○△
 与えることもある、が一番近い。

・味わい、うま味を与える ○
 
・ツヤを与える ○△
  ツヤを与えるタイプのミネラルもあると、思っている。ワインにおいてのミネラルは何種類かあると思っている。

・気品や高級感を与える ○
 難しい問題だがミネラルが寄与する影響は大きいと思って○にした。
ただこれについてはもちろんミネラルありきの事ではあるがミネラルのみで語れる問題ではないと思っている。醸造による影響は大きいと思うし、酸や凝縮度との釣り合いやバランスが関わってくると思っている。

・背骨を与える ○

・輪郭を与える ○

・立体感を与える ○

・エネルギーを与える ◎

・バランスを与える ○
 バランスを考えた時の一要素だと思うし、バランスとはミネラルを中心に考えるべきものと思っている。

・構成要素の果実、酸、タンニン、アルコールと同様に重要 ◎
 最も重要。もし自分が造り手ならまずミネラル。それがあって果実、酸、タンニン、アルコール

・酸とミネラルの関連性 ◎
 ミネラルがある分、大量の酸(=凝縮)との釣り合いが取れると思っている。
もっと言及すれば、ミネラルが多ければ多いほど酸を保っていられる。
つまり長期熟成型のワインが造れると思っている。
またミネラルは旨みの要素だとすると、旨みとは酸の一種なので関連性は多いにある。

シモン・ビーズやシャソルネイとはかなり近いぞ。。。

2015年3月7日土曜日

2001 Morey-Saint-Denis Georges Lignier

 香りの立ち上がりから良く熟れたクラシカルなワインだという事がすぐわかる
ベクトルはさらに開く方向に向かっていて確実に美味しい。
すでに魅惑的な香りが充満しつつあり、ブルゴーニュワインの醍醐味ここにあり、といった面持ちだ。
これが5000円程と考えれば絶対に「買い」 のワインだ。
ここまで断言でき誰でも美味しいと言える状態のワインは珍しいと思う。

 モレのワインにはなめし皮的な、獣のようなムレがある。
色合いはツヤのある赤色が支配的だけれども、淵がややオレンジがかってきており良い熟成を重ねてきた事が伺える。
まだ10年以上は確実に持つはずだが、今飲んで後悔することは全くない。
村名ワインでこれだけのエレガンスが表現できればかなり素晴らしいクオリティのはずだ。

 緻密で濃度も申し分ない。
開き始めたワインはリリース直後のワインと比較しずらいため、 ポテンシャルを図るのは難しいが一級クラスに肉薄しているワインであることも否めない。

 ジョルジュ・リニエはおそらく粗目のフィルターをかける造り手だがそれでも到着直後に開けるといささかくぐもった色合いになる。
荒れが残った状態では少し「ピリッ」とするが、それだけ荒れていても上質なエレガンスと舌触りを失わないのも凄いが、できる事なら最高の状態で飲むには立てて落ち着かせるという事を欠かしたくない。


価格、味わい、ポテンシャル、どれをとっても褒めるしかない。

2015年3月4日水曜日

N.V.(2011) Ancestral V.d.T.Rouge Domaine Julien Courtois

ロワールの自然派はパイオニア的な存在でもあってかやはりクオリティが高い。
 それも自然派ワインとして、というよりも「ワインとして」クオリティが高い。

非常にピュアなワインだ。
酸がピチピチと細やかに、かつ大量に存在してる。
口に含むと酸を含んだカプセルが弾けるように味わいが広がっていく。
言い過ぎ感はあるが、まるで葡萄の生果実をかじっているような、錯覚を覚えることもある。

 全体のまとまりが非常に良い。
おそらく何層かの地層まで根が食い込んでおり、しっかりとミネラルを吸い上げている事が感じられる。
土地を味わっている感覚は強い。
グランクリュのような偉大さはないが、ミネラルが味わいの隅々まで行き届いているような充実感があり葡萄の凝縮と相まってか若干オイリーに感じなくもない。(南仏のそれとはまったく違う)

液体の色も秀逸でとても艶っぽい。
エキスが積層しているのが分かるし、かなり美しい。

香りはピュアかつ、エレガンスも存在している。
味わいを探っていくとほんの少し酢酸のニュアンスがある事もわかるけれども全く問題はない。
安定しているし、ミネラルを喰っているというほど強いものではなく、むしろ好意的に見えるのは間違いない。

味わいにとっかかりが無いのは驚くべきことだ。
これは亜硫酸を使っていない裸のようなワインだが単純にそれだけに由来するものではない。
非常にフリーラン的な要素が強く、様々な要素が重なってこのような接触感を形成している。

カベルネ・ソーヴィニヨン(ヴィーニュ・フランセーズ)とガメイという変わったセパージュの赤ワインらしいが、まるでピノ・ノアールのようにタンニンのないワインだ。
そしてやはりヴィーニュ・フランセーズにはアメリカ産台木にはないニュアンスがあるような気がしてくる。

とにかく驚く程ピュアで美しいワインだ。

2015年3月2日月曜日

2011 Saint-Joseph Celeste J.L.Chave Selection

ジャン・ルイシャーヴのワインに関してはもう全幅の信頼を寄せているかもしれない。
特にピュアで緻密で濃密で、エッジの効いたフィネスの出させ方を熟知しているとしか思えない素晴らしい造り手だ。
そしてこのエレガンスとポテンシャルにしては非常に安い。

南仏のワインという事もあり、アルコール感が高くてヴォリューミーであるのは致し方ない。むしろそれは若くても飲めるというグットポイントと捉えられるかもしれない。

 単純にこのワインはかなり凝縮している。けれどもバランスは全く失っていない。
なぜか。

一つに、酸が充実している事が挙げられる。
この完熟感から早摘みによるものだとはまず考えられない。
おそらく完熟しても酸を失わない豊かな栄養分があると考えられる。
さらに一株に対する葡萄の量が非常に少ないのだろう。

二つ目に、収穫のタイミングが良いという事が挙げられる。
完熟過ぎてもいけず、なおかつ早摘み過ぎても青さが出る。
この見極めの妙がある。

三つ目にミネラル量の多さ。
樹齢による根の深さに対する到達度というのがある。
あとはプラス畑の選球眼の良さも秘訣の一つだろう。

四つ目に不健全果の少なさ。
これも酸やミネラルを喰ってしまう可能性があるので避けなければならない。

五つ目に亜硫酸の少なさ。
ケミカルなニュアンスが全く無いとは言わないができるだけ抑えていることはよくわかる。

もっとあるが段々と良いワインの造り方のポイントみたいになってきてしまった。
特に五つ目はワインの凝縮度とのバランスにはほぼ関係ないだろう。
とにかく言ってしまえば当たり前のことを当たり前にポイントを絞ってやれるというのが第一条件だろう。

ただそれだけではない秘訣は色々あるだろう。
それこそ造り手の感覚やセンスでしかどうにもならない部分は多分にあるとしか言いようがない。

 例えば料理にしてみても肉の焼き方ひとつ取ってみても、同じ焼き方をしても人によって全然違う。
そこにほんの少しのセンスやらコツがあると思うのだが、それが非常に秀逸だと思うのがシャーヴだ。
綾とか趣と言っても良いかもしれないが、その人がそれまでどのように努力してきたか、またワインをどのように理解しているか等、がどうしても出てしまう。
シャーヴきっと料理を造らせても抜群にセンスがあるんだと思う。
言ってしまえば、ミスを全く感じさせないワインなのだ。

2012 Cotes du Jura les Boutonniers les Dolomies


 ソフトタッチ、ミネラルの荒れの無いまとまり感、細やかでピチッとした酸味から秀逸な造り手という事が感じられる。
案外、ラベルから造り手のセンスが見て取れる事は多く、色使い、絵柄、字体などからも造り手の意思は感じ取れる。(特にマイナー産地の方が自由度は高く、その傾向は強い)

 特筆すべきは非常にミネラル量が多いワインだという事だ。
おそらく味わいに関しては開栓してから1週間くらいは持つかもしれない。
要素としてはカルシウム系が多くを占め、石灰、ステンレス的な要素もあると思われる。
ミネラルとは骨格であり、温度変化による劣化も単に酸の過熱というよりも、ミネラルのバランスの崩壊の方が影響度は強いかもしれない。
いずれにしてもミネラル、酸、タンニン等ワインの要素についてはそれぞれ独立したものではなく、常に連動したものなので一言では片づけられない。
さらにポテンシャルや価格は単純 にミネラルの量だけで語られるものではないので、ミネラルだけに躍起になって、ミネラルが全てだという考え方になってはいけない。
しかしミネラルがワインに与える影響は非常に大きい。

 個人的にはピュリニー的な鉱物的な立ち上がりがあると思っていたが、どうやらそれはソーヴィニヨンブラン的なハーヴィーな香りの取り違えのようだ。
もしかしたらシャルドネ100%ではないのかもしれない。

 さらにこの造り手はもしかしたら割と亜硫酸の使用を早くから行う造り手なのかもしれないとのこと。
連続的な安定感からなのか自分ではまだその妙までは捉えられていない。しかし総量が少ないのはそのタッチの柔らかさからは簡単に想像できる。

 ジュラといえばヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パガイユ、マックヴァン・ド・ジュラ等の特殊なワインが多い。
特にヴァン・ジョーヌは最低6年間ウィヤージュやスーティラージュをしてはならず、そのことによる産膜酵母の被膜を形成させ熟成させる。
そのためかわからないがこのシャルドネにもほんのわずか表面にソフトな膜が貼ってあるかのような柔らかなオイリー感が感じられるような気がしない事もないが、もしかしたら空気中に漂う産膜酵母の一種がわずかに影響しているのかもしれない。

 また、ジュラではシャルドネの事をシノニム(別名)でムロン・ダルボワと呼び、ムロン・ダルボワはシャルドネとは別物という地元の人も多いという。

緯度的にはほぼブルゴーニュと同緯度にあるが、メロンのニュアンスがあるのももしかしたら何か理由があるのかもしれない。

2015年3月1日日曜日

2013 Alsace Pinot Noir Rietsch

 アルザスというのは実はブルゴーニュよりも積算温度が高く、ブルゴーニュよりも温かいニュアンスが強くなる。
かくいう僕もそこまでアルザス・ピノを飲み込んでいないのであくまで現状は知識として理解している。

 このリエッシュという造り手は非常にセンスのある造り手のようだ。しかし年によって味わいにバラつきがあるらしい。
かといって年によって品質の差が激しいというわけではなく、スタイルを変えてくるのか、はたまた天候による影響が非常に大きいか。
 このピノ・ノワールは非常にブルゴーニュ的だ。しかもニュイ的なニュアンスがある。色合いから見てもわかるようにシャンボール的な色合いをしている。
確かに石灰的ミネラリティもあるが味わいに関して言えばもう少しソフトだ。
チェリッシュと言っても良いかもしれないが。
ロッシュ・ド・ベレーヌのブルゴーニュ・ルージュにもう少し濃密さと果実のふくよかさを足したような感じだ。
冷涼でありながらフカフカな土を思わせる。
野趣の少ないチェリッシュなワイン

全くとっかかりの無いピュアなエキス系の味わいである。
抜群なポテンシャルとは言わないが、デイリーちょい上ぐらいの位置付けであれば非常に優秀なアイテムだ。

2006 Chanti Classico D.O.C. Riserva Caparsino

ワインについて色から受け取れる情報は多い。
良い白ワインには薄緑のニュアンスがあることが多く、黄色い色が多い方が南国フルーツのニュアンスは大きいような気がする。
良い赤ワインはツヤのある積層的な赤色からの深み。ワインのタイプによっては黒いニュアンスがある方が良かったりもする。

 このキャンティクラシコは例外的に深く奥深い赤、少々黒いニュアンスもある。
そしてキャンティクラシコにしては例外的な程ミネラルが多く、それ由来の非常に照りのある色あいをしている。
色あいだけでいったら良いバローロにも匹敵するかもしれない。
味わいも2006年にしては非常に若々しく、老いは一切感じさせないこれからのワインである。

 ミネラルに関しては何層にも重なった地盤というよりも割と単一的な地盤に深く根を張っていると捉えられる。(想像)
それ故に幾重にも重なった層からの複雑性はそこまでではないが非常に大量のミネラリティを保有している。
香りもフィネスの片鱗が伺える。
香りには藁のようなキャンティ的スパイシーさも残っている。
ミネラルがあるため非常に伸びやかであり、タンニンもシルキーであるため非常に上質。
マロを途中でやめたかのような乳酸とリンゴ酸の共存感があり。
それを支えられるのもミネラルの量が多いから。

 フランスの大体の産地の赤ワインはある程度低い温度でも味つきを感じられるが、トスカーナ当たりのワインになってくるとある程度温度が上がらないと味わいがノって来ない。
これは緯度的な酸の質によるものという見解が強いと思う。

 キャンティという地区は元々のキャンティ地区の事を現在ではキャンティ・クラシコと呼び、人気が高いので広げられた地区が現在のキャンティ地区となっている。
そのためキャンティ地区のワインはフレンドリーなワインが多く大量生産的であり、秀逸な生産者を探すのはいささか難しい。
しかし、キャンティ・クラシコ地区に置いても粗野な造りの物も散見することが多く、実際の知名度程良いワインが多くはないのかもしれない。
そんな中でこのワインはかなり良いと言えるだろう。

ワイン全体の中では中の上くらいの位置付けかもしれないがキャンティ・クラシコの中では非常に高品質だ。

ブルファンにも受け入れられそうな事がイメージできるのでなおさらそう思う。