ジャン・ルイシャーヴのワインに関してはもう全幅の信頼を寄せているかもしれない。
特にピュアで緻密で濃密で、エッジの効いたフィネスの出させ方を熟知しているとしか思えない素晴らしい造り手だ。
そしてこのエレガンスとポテンシャルにしては非常に安い。
南仏のワインという事もあり、アルコール感が高くてヴォリューミーであるのは致し方ない。むしろそれは若くても飲めるというグットポイントと捉えられるかもしれない。
単純にこのワインはかなり凝縮している。けれどもバランスは全く失っていない。
なぜか。
一つに、酸が充実している事が挙げられる。
この完熟感から早摘みによるものだとはまず考えられない。
おそらく完熟しても酸を失わない豊かな栄養分があると考えられる。
さらに一株に対する葡萄の量が非常に少ないのだろう。
二つ目に、収穫のタイミングが良いという事が挙げられる。
完熟過ぎてもいけず、なおかつ早摘み過ぎても青さが出る。
この見極めの妙がある。
三つ目にミネラル量の多さ。
樹齢による根の深さに対する到達度というのがある。
あとはプラス畑の選球眼の良さも秘訣の一つだろう。
四つ目に不健全果の少なさ。
これも酸やミネラルを喰ってしまう可能性があるので避けなければならない。
五つ目に亜硫酸の少なさ。
ケミカルなニュアンスが全く無いとは言わないができるだけ抑えていることはよくわかる。
もっとあるが段々と良いワインの造り方のポイントみたいになってきてしまった。
特に五つ目はワインの凝縮度とのバランスにはほぼ関係ないだろう。
とにかく言ってしまえば当たり前のことを当たり前にポイントを絞ってやれるというのが第一条件だろう。
ただそれだけではない秘訣は色々あるだろう。
それこそ造り手の感覚やセンスでしかどうにもならない部分は多分にあるとしか言いようがない。
例えば料理にしてみても肉の焼き方ひとつ取ってみても、同じ焼き方をしても人によって全然違う。
そこにほんの少しのセンスやらコツがあると思うのだが、それが非常に秀逸だと思うのがシャーヴだ。
綾とか趣と言っても良いかもしれないが、その人がそれまでどのように努力してきたか、またワインをどのように理解しているか等、がどうしても出てしまう。
シャーヴきっと料理を造らせても抜群にセンスがあるんだと思う。
言ってしまえば、ミスを全く感じさせないワインなのだ。
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